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主体的なキャリア形成のために学び続ける仕組みを構築

伊藤忠商事株式会社

伊藤忠商事株式会社

主体的なキャリア形成のために学び続ける仕組みを構築

伊藤忠商事株式会社は、「三方よし」を企業理念に非資源部門で強みを持ちながら、資源分野にも継続して取り組むことで分野分散が効いた事業を展開しています。同社では、人的資本の強化を推進しており、社員の声を生かした人事制度の改訂や主体的なキャリア形成の推進に取り組み、社員個人の成長を事業の成長につなげています。同社の成長を支える人材育成、そしてUdemy Businessを活用した主体的なキャリア形成について、伊藤忠人事総務サービス株式会社グローバル人材開発部部長の金山義憲さんにお話をうかがいました。

伊藤忠人事総務サービス株式会社グローバル人材開発部部長 金山義憲さん

人的資本の強化を通じた労働生産性の追求

伊藤忠商事は、 経営方針に掲げた「利は川下にあり」に基づき、成長戦略を確実に遂行し、年平均成長率13%という高い利益成長を達成しています。その原動力となっているのが高い労働生産性です。「人的資本の強化」を推進し、年々その数値を向上させています。

金山さんは次のように話します。
「伊藤忠商事は人材戦略を重要な経営戦略の1つとして打ち出し、成果を求められる中で働きがいを感じ、能力を発揮できる「厳しくとも働きがいのある会社」を目指しています。商社の中でも社員数が少ない弊社では、社員一人ひとりが最大限能力を発揮し、生産性を高めていく必要があります。そこで、無駄な会議・資料の削減や『朝型勤務制度』導入、健康経営などを通じ、人材戦略の推進や人事制度改訂を進めた結果、2010年度の労働生産性(連結純利益÷単体従業員数)を1とした場合、2023年度には5.2倍まで向上させることができました(図1)」

図1 労働生産性
図1 労働生産性

同社が労働生産性の向上を実現できた要因について、金山さんはこう続けます。
「改革当初、夜8時以降の残業を原則禁止にしたことで、業績が下がるのではないかといった懸念もありました。しかし、継続的な取り組みによる社員の意識改革が進み、業績や株価も上昇していきました。具体的には、朝型に勤務がシフトし業務に集中したことで社員は自己研鑽やプライベートの時間が充実するようになったことに加え、成果に応じた評価・報酬などの人事制度を整えた結果、業績にもよい影響をもたらしました。その後も、社員の声に耳を傾け、課題を明らかにしその対応を真摯に行うことを続けています」

社員の声を基に人事制度を改訂、主体的なキャリア形成を推進

社員の声に基づく人事制度改訂を行うために、同社では3〜4年に1回、エンゲージメントサーベイを実施し、それ以外の年にはスモールサーベイを行っています。

2023年度のスモールサーベイ結果を受けて、同社は、「成果に応じた評価報酬制度」「主体的なキャリア形成支援」の2点に主眼を置き、大規模な人事制度改訂を実施しました。
「具体的には、若手・中堅の給与水準を引き上げるとともに、個人業績を重視した成果に応じたメリハリのある評価・報酬を実現しました。また、異動や昇格は会社主導の面はありますが、近年の若手・中堅社員は自らキャリアを構築したいという志向が強いことを踏まえ、性別問わず、様々なライフイベントに対応しながらも、主体的にキャリアを形成できる制度を整備しました」(金山さん)

同社では、主体的なキャリア形成を推進するため、毎年全社員が自分の強みと弱みを把握し、中長期のキャリア志向を整理することを目的に「キャリアビジョンシート」を作成し、上司と今後のキャリアビジョンについて話し合う「キャリアビジョン面談」を2001年から実施しています。加えて、部門長が組織の育成方針を話す機会や、先輩社員がどのように成長してきたかを語る「キャリアミーティング」も年1回提供しています。

さらに2024年度からは、新入社員を対象に、「個人別キャリアプランイメージ」の作成と共有を開始。入社後8年間でどのような経験を積むことができるのかを一人ひとりの適性に合わせて提示し、新入社員がキャリアビジョンを描けるような仕組みを導入しました。

その他にも、案件への関心が強いメンバーで組織横断チームを組成、案件推進できる仕組みとして社内兼業を可能にする「バーチャルオフィス」や、カンパニーを越えた異動が実現できる「チャレンジキャリア制度」、若手・中堅社員向けの経営人材育成のための「ITOCHU MBA(IMBA)」など、多様なキャリアパスを支援する制度や成長の機会を提供しています。そうした社員の主体的なキャリア形成を推進するための人事制度改訂を行い、会社の成長につなげていく考えです。金山さんは次のように話します。
「現在、キャリア採用のマーケットが活況であるため、社員が社外に目を向ける可能性もあります。そのため、人事制度の整備にとどまらず、社内における多様なロールモデルを示すことで、若手・中堅社員に仕事の魅力や面白さを伝え、将来のキャリアを具体的に描ける環境を提供しています」

伊藤忠人事総務サービス株式会社グローバル人材開発部部長 金山義憲さん2

全社員の個人業績目標に「学び続ける」を追加

同社では、組織の年間目標と課題に基づき、社員が個人業績目標を設定し、その進捗や達成度合いによって人事評価をする目標管理制度(MBO)を導入しています(図2)。

図2 人事評価制度の全体図
図2 人事評価制度の全体図

2024年度からは、全社員の個人業績目標の項目に「学び続ける(リスキリング)」を追加しました。それにより、社内外の環境変化や技術革新、ビジネスモデル変革に対応し、社員一人ひとりが経営戦略に基づき必要な知識・スキルを学んでいくことを期待しています。

同時に、「学び続ける」文化を根付かせることで、キャリア形成や働きがいの向上、さらには組織の活性化を目指しています。その背景について、金山さんは次のように説明します。
「市場や消費者ニーズに対応した『マーケットインの発想』を基に新たなビジネスを創出するには、組織ごとの目標を達成するために必要な人材を明確にし、経営戦略上求められるスキルや知識、経験を社員に示すことが重要です。その上で、社員が主体的に業務上必要な知識・スキルの獲得を重ね、キャリア形成を進められるよう、個人業績目標の項目に『学び続ける』を加えました」

「学び続ける」の目標の具体例として、資格取得だけでなく、業界知識の習得、新たな人脈構築、展示会への参加など、幅広い情報収集でもよいと、金山さんは言います。
「資格取得だけを目標にすると、資格を取ることが目的化する懸念があります。例えば、化学品の新素材に関するビジネスを考えている社員であれば、化学品の新素材展示会に足を運び、様々な企業と交流して新しい知見を得ることもあるのではないでしょうか」

Udemy Businessを導入し、主体的なキャリア形成に生かす

キャリアの棚卸と振り返りは、年1回実施する「キャリアビジョン面談」で行い、次のステップに必要な研修や学びについて上司と話し合う仕組みを設け、成長のための PDCAサイクルを確立しています。

その面談で明らかになった個人の課題を強化するために用意されているのが「キャリアビジョン支援研修」です。100以上の研修メニューから、社員が自分のニーズに合ったものを選択して受講することが可能です。それに加えてUdemy Businessが導入されました(図3)。
「社員が自由に受講できるようカフェテリア式の研修メニューを用意していましたが、部門ごとに求められるスキルは年々広がり、自社で集合研修を用意したり、都度外部研修を用意したりするのは限界がありました。そうした折、Udemy Businessを知りました。豊富な講座が用意され、常に内容がアップデートされている点に魅力を感じました。対面研修にも良さはありますが、場所を選ばず、隙間時間に利用できるため、海外に駐在する社員も活用しやすい点が非常によいと思いました」

図3 研修体系
図3 研修体系

図3 研修体系

特に若手・中堅社員が新たなステージに必要なスキルを補うためにUdemy Businessが活用されています。従来の必須・選択研修では受講対象者が決まっていましたが、Udemy Business導入後は、年次や経験、勤務地に関係なく必要な講座をタイムリーに提供できるようになったと、金山さんは述べます。
「近年、若手・中堅社員が30代前後で、出向先の事業会社や海外の事業所でマネジメントポジションに就くケースが増えています。ただ、彼らの中には、社内でのマネジメント経験が少なく、マネジメント研修を受ける機会がない社員も少なくありません。そうした社員が、Udemy Businessでリーダーシップや組織マネジメントの講座を学んでいます。また、営業出身の社員が、出資先や事業投資先で、事業管理やPMI対応のため、Udemy Businessで財務分析やPMI入門を学んでいる事例もあります」

さらに、社員の「学び続ける」を支援する施策として、人事・総務部がリーダーシップやDX、コンプライアンスなど、全社的に重要なテーマに関するラーニングパスを作成し、社内のイントラネットやメールマガジンでの受講を促進しています。

伊藤忠人事総務サービス株式会社グローバル人材開発部部長 金山義憲さん3

課題解決ができるDX人材の育成を強化

今後の人材育成における課題はDX人材の育成だと、金山さんは話します。
「伊藤忠商事のDX人材育成において最も重要なのは、DXを目的化すること(単なるDXスキルの習得)ではなく、課題を解決するために、事業変革を通じて新たなビジネスを創出する力までセットで養うことです。そのため、データ活用にとどまらず、課題解決力や事業構想力も含めた包括的なプログラムを提供しています」

加えて、DX活用事例の共有を目的としたワークショップや、DX推進に取り組む経営者を招いた朝活セミナーなどを行い、DXを自らのビジネスに生かすためのプロセスを学べる場も用意。また、DX活用の一環として伊藤忠独自の生成AIを導入し、全社員向けeラーニングや、組織長向け研修での活用法の周知を進めています。

金山さんは、人材育成における今後の展望を次のように述べます。
「急速に移り変わる市場やお客様に対応していくためには、我々も常に変化に適応し、学び続ける姿勢が求められます。それを支援するために、今後もマーケットインの発想に基づき、社員が必要なスキルを常に意識し成長できる環境を整えるべく、キャリア支援のPDCAサイクルを確立し、さらなる事業成長につなげていきたいと思います」

主体的なキャリア形成のために学び続ける仕組みを構築
企業名
伊藤忠商事株式会社
業種
総合商社
従業員数
4,190名(2024年4月1日現在)

繊維、機械、金属、エネルギー・化学品、食料、住生活、情報・金融の各分野において幅広いビジネスをグローバルに展開。

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