内定者研修にオンラインと対面のブレンデッドラーニングを導入 ~資生堂ジャパンが取り組むジョブ型人材育成へのシフト~ 導入事例 2021.03.05 資生堂ジャパン株式会社 導入企業情報 企業名 資生堂ジャパン株式会社 業種 化粧品 従業員数 - 「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(ビューティーイノベーションでよりよい世界を)」というミッションのもと、資生堂化粧品の企画・マーケティング・カウンセリング・販売を行っている。 百貨店などでの対面販売を重視してきた化粧品業界ですが、顧客の購買行動の変化や新規参入企業の増加、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、オンラインを含めた新たな販売戦略の見直しを迫られています。また、そうした変化に対応できる人材の育成も大きな課題の1つです。 資生堂ジャパン株式会社では、新たな内定者へ向けた育成方針を策定し内定者研修の一環として、2020年からUdemy for Businessを導入しました。同社の育成方針やUdemy for Businessの導入の背景、具体的な活用事例について、資生堂ジャパン株式会社人事部の西かおりさん、田中悠大さんにお話を伺いました。 目次 大きな転換期を迎える化粧品業界 ジェネラリスト育成からジョブ型の人材育成へシフト ダイバーシティへの配慮と個別最適化されたコンテンツを探して オンラインと対面のブレンデッドラーニングを体系化 部署ごとのDXを推進していくために 大きな転換期を迎える化粧品業界 化粧品業界は近年、大きな転換期を迎えています。まず、「顧客の購買行動が大きく変化した」と人事部の田中悠大さんは語ります。 「百貨店などの店頭で接客を受けて化粧品を購入することに加えて、SNSなどの口コミで1次情報を収集し、次に店頭で商品を試して、最終的にオンラインで商品を購入するというお客様が増えています。これまで資生堂グループでは、店頭販売に強みを持ち、そこに注力したビジネス展開をしていましたが、新型コロナウイルス感染症の影響も受け、さらにDXを推し進めないといけないと感じています」 また、化粧品業界は参入障壁が低く、国内外の様々な業種・規模の企業が進出し、ヒット商品を生み出しているという状況も同社の変革を後押ししているという。 「以前は『有名なブランドの商品だから安心して購入する』というお客様が多かったのですが、現在は、メーカーは問わずに質の高いプチプラ商品(値段が安い手頃な商品という意味)を購入したいというお客様も増えているため、企業名に頼った戦略ではいけないと危機感をもっています」(田中さん) 人事部 田中 悠大 さん ジェネラリスト育成からジョブ型の人材育成へシフト また、同社では100年先も輝き続け、世界中の多様な人たちから信頼される企業となるべく、2019年に新・企業理念「THE SHISEIDO PHILOSOPHY」を策定。企業理念は3つから構成され、その1つに企業使命として「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(ビューティーイノベーションでよりよい世界を)」を掲げています。 その使命を実現すべく、お客様のニーズに対応し市場で勝つために、人材育成の手法を、ジェネラリスト型から一人ひとりの専門性を高めるジョブ型へと転換しました。その理由を人事部の西さんは次のように説明します。 「企業使命の実現のためには、人材が最も重要な経営資源だと考え、育てたいコアコンピテンシーを策定しました。それを能力開発プログラムや評価制度の礎とし、『個の力を強くする』、『人の力を最大化する』ことにより組織力を強化し、より『強い会社』をつくりたいと考えました」 具体的には、お客様により商品の魅力を伝えるために、研究、製造、販売、それぞれのバリューチェーンの中で、専門性を高める人材育成を進めていくことにし、内定者研修の在り方も見直すことにしたそうです。 「これまで総合職の内定者研修は、社会人として求められる土台を養うため、全領域横断のセミナーを中心に実施していました。また、職務で必要となるベーシックなビジネススキルを入社前に学習してもらうため、8年前からEラーニングのコンテンツも提供していました。しかし、どちらも専門性を踏まえた内容は少なく、職務に応じてどのような力を身につけさせるべきかが、明確になっていなかったなどの課題がありました。ジョブ型の人材育成を加速するにあたり、内定者研修も個々の専門性を引き上げる内容にシフトしたいと考えました」(田中さん) 内定者研修は、全職種共通で同社のビジネスについて学ぶ合同セミナーと、セールス、研究、マーケティングなど配属後の職種に特化した内容を学ぶ領域別セミナーにわけて提供することにしました。また、Eラーニングでは、一人ひとりのレベルに合ったコンテンツを提供することが必要であると考え、新たなサービスを検討したと言います。 ダイバーシティへの配慮と個別最適化されたコンテンツを探して そこで2020年から導入されたのがUdemy for Businessでした。導入した理由について、西さんは次のように述べました。 「資生堂では、“LOVE THE DIFFERENCES”をスローガンに、性別や年齢、国籍に関係なく、個々人の違いをお互いに認め尊重し合い、新しい価値創造に向けて議論する風土醸成を推進しています。そのため、Eラーニングを導入する際も、ダイバーシティやインクルージョンを大事にしたいと考え、すべての受講者に提供できることが条件でした。その点、Udemy for Businessでは、English Userへの対応がされており、字幕対応のコンテンツも豊富にあったことから、聴覚障がいの方々への対応もできると判断し、導入を決めました」 また、個人が自分のレベルに合わせて必要な学びを積み重ねていくことができる点もUdemy for Businessの魅力だと感じたと田中さんは話します。 「エクセルひとつとっても、営業職と研究職に必要な領域が異なります。そこで個別最適化したコンテンツを受講できるUdemy for Businessは、弊社のビジネスにマッチしていると感じました」 人事部採用グループ 西 かおり さん オンラインと対面のブレンデッドラーニングを体系化 2020年以降、同社では、コロナ禍の影響で内定者研修や新入社員研修のオンライン化をさらに加速させ、オンラインと対面を組み合わせるブレンデッドラーニングを体系化し、提供し始めました。Udemy for Businessの講座のなかでも特に同社のビジネスにつながる15講座の受講を推奨し、そこで学んだスキルのアウトプットの場を対面研修で実施するようにしました。 「2019年まで新入社員研修は、総合職・特定職新入社員に対して2~3週間ほど集合研修を実施しておりましたが、コロナ渦でそうした形式を実施できないため、リモートと対面を組み合わせる進め方を検討しています(*2月16日現在)。たとえば、プレゼンテーションやロジカルシンキングのようなインプットの講座を自宅で受講し、対面時にアウトプットする機会を設定するなどです。そのインプットの要素に、Udemy for Businessを活用したいと考えています」(西さん) また、人事部ではUdemy for Businessの受講を促進するため、管理者画面でユーザーのアクティビティを確認して、受講が少ない内定者に個別にメールで受講を促すほか、受講が進んでいる内定者の受講状況を伝えるなどして、内定者全体への利用を浸透させていったそうです。 同社の内定者研修において受講者数の多い人気の講座は下記の通りです(図)。 「内定者研修では先輩社員との対談があり、その中で『入社前にエクセルやパワーポイントなどの実務で使うビジネススキルを身につけておいた方がよい』とアドバイスを受けた内定者が多く、そうしたビジネススキル系の講座が人気だったようです」(西さん) 「導入初年度の実施状況から、ロジカルシンキングなどの概念的なビジネススキルのインプットは、オンラインでもまったく学びの差がないと感じました。そこで、2021年度は、より一段階上のスキルを身につけさせる内定者研修に変更し、レベルの底上げを図りたいと考えています。具体的には、昨年度、新入社員研修として受講してもらったエクセルなどのビジネススキル系のコンテンツを、2021年度は内定者研修で受講してもらうようにし、4月からの新入社員研修では、より実務を意識した内容にレベルアップする予定です」(田中さん) 部署ごとのDXを推進していくために 内定者からもUdemy for Businessの講座は好評ということですが、特に人気が高いのが、最新のビジネストレンドを意識した講座です。 「外資系投資銀行出身の熊野整さんのエクセル関連の講座など、ビジネスの最前線で活躍する講師がエクセルとロジカルシンキングを掛け合わせ収益計画を作成するなど、スキルを実践的に活かす方法を紹介している講座が好評でした。また、英語を学びたいという社員からは、英語でも講座を視聴できる点がよいという声も挙がりました」と西さんは語ります。 最後に、今後どのようにUdemy for Businessを活用していきたいかお二人にうかがいました。 「内定者に受講を期待したいのは、データサイエンス系のスキルを鍛える講座の受講です。どの部署もDXをさらに推進していく必要があります。ただ、領域によってもDXの進め方は異なり、ノウハウを蓄積していきたい部分でもあるため、Udemy for Business の受講を促していきたいです」(田中さん) 「オンライン研修には多くのメリットを感じましたが、同期とのコミュニケーションにより同じ会社の社員という一体感を得たり、相手の心の機微を読むといった実践的なコミュニケーション力を育成したりすることが難しいという課題も感じています。人事部では、そうした力をオンライン研修でも育成していくための仕組みについて検討を重ね、受講者自身がさらにオンラインでの学びの有効性を感じられるよう、今後も内容や流れを見直していきたいと思います」(西さん) お問い合わせはこちら この記事をシェアする シェア Tweet