データサイエンス領域の加速と並行して“HR Technology”は近年急速な盛り上がりを見せている。AIやVR、ビッグデータ解析など様々な技術を利用し人事部門で従来のモデルをいかに効率化し有限なリソースをどう最適に配分するかによって、向き合う人に対してどれだけ丁寧に正確にアセスメントしていくか、各社しのぎを削っている。
そんな状況下で先端を走るトップ企業の取り組みとは?
去る11月22日、『日本の人事部』が主催する”HR Technologyカンファレンス”に飛び込んだ。当日は日本を代表する企業の人事や経営企画など数百名が参加し、各社HRTechのテーマにそった活用事例や採用向けVRオフィス見学といったの体験型ブースもあり盛況だった。そんな中で非常に興味深いトピックを幾つか紹介したい。
HR technologyカンファレンスHPより http://hr-conference.jp/tech/
テクノロジーを使った採用活動の変革がテーマのセッション
登壇したアクセンチュア人事戦略担当の佐藤氏によれば、同社は近年デジタル・インスピレーションをテーマとした人材採用を実施。例えば最新のVRデバイスが採用面接をどんな風に変える可能性があるか体験し考えてみることで、デジタルアーティストのアイディアに触発され、テクノロジーが変える近い未来について共に考える機会を採用領域で提供するなど新しい取り組みが進んでいる。
(参考VTR下記参照)
同じく登壇者のソフトバンク人事本部統括部長・源田氏によれば、人事部門でのAI導入によりこれまでの選考プロセスの工数を75%削減する事に成功、一方でより人に寄り添う動きにシフト。人材に直接会う時間をこれまで以上に増やすなど、仕事のプライオリティがより明確化されていると話す。
加えて興味深いのがデジタルとアナログの融合について。源田氏によればデジタル化の一方でトップ営業マンの採用履歴を紐解くと、営業実績の良い人材を見抜く力が他よりもずば抜けていた。理由を聞いても「気が合う」「目がきれいだ」など定量化しづらい側面があったとの事。ここにデジタルとアナログの融合の面白さや課題が見て取れる。
パネルディスカッション内での今後のHR領域におけるデータ活用について。まずFirst stepとしては従来得られている社員属性の情報をデータ化し溜めていくいく事から始まる。その上で技術の進歩によって得られる、個々の行動履歴データの活用が次の展開。司会の横浜国立大学・服部氏によれば行動データでユニークな例を紹介していた。
美術館で良い作品のアンケートデータを取るとゴッホのような有名アーティストの作品を選ぶ傾向にあるが、実際会場の足跡データを解析すると無名の作品が最も注目されていた、つまり状況によって人は嘘をつく・よく見せる傾向にある。その前提から行動データのような側面を解析する事で、HR領域においてもこれまで以上の精度を出したり、新しいモデル、例えば行動データ解析から内定辞退者や離職者の予測モデル構築、といった展開の可能性があるようだ。
近年マーケティング側面でのデータ活用事例が先行している傾向があるが、それは会社の性質上、どうしても収益に直結するような同領域での取り組みが優先される傾向からだとの事。しかし中長期には事業規模に直結する事が確実なHR領域においてはデータ活用の取り組みが今以上に加速するとの事だった。
この機会にあらゆる事業領域でホットなテーマの”データサイエンス”を基礎から学んでみる事で、今の実業務や今後キャリアに活かしてみるのも良いかもしれない。
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http://hr-conference.jp/tech/