研修効果を高める動画学習の魅力とは? 「ハイブリッド型」研修で挑戦するCTCのAI人材育成に密着!
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)
日本政府が2019年3月にAI戦略を発表し、人工知能(AI)を使いこなす人材を年間25万人育成するという目標を掲げました。ようやくAI分野に注力する兆しが見えはじめていますが、現実的にはまだまだAI分野の人材不足は深刻な状況です。
企業でのAI分野の人材育成が重要視される中、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)の情報通信事業グループでは、昨年から、社内エンジニアなど一般の社員を対象に「3カ年計画」としてAI人材の育成を実施しています。2年目である今年の研修教材として、「Udemy」の実践的な動画学習と同講座の講師による対面研修を組み合わせた「ハイブリッド型研修」を実施しました。
今回のインタビューでは、実際の研修の様子をお伝えするとともに、AI人材育成推進の背景やUdemy導入の経緯、対面研修を行って感じた手応えなど、研修担当者、参加者、講師、それぞれの立場の方にお話を伺いました。
INDEX
「Udemy」(ユーデミー)とは
Udemyは、「Improving Lives Through Learning(学びを通して人生をより豊かに)」を事業コンセプトとして掲げる米国法人Udemy,Inc.が運営する世界5,000万人以上が利用するオンライン学習プラットフォーム。C to C(Consumer to Consumer)により世界中の「教えたい人(講師)」と「学びたい人(受講生)」をオンラインでつなげます。最新のIT技術からビジネス、趣味まで幅広い領域の学びをオンラインで学ぶことができます。2015年からベネッセコーポレーションが日本における事業パートナーとして提携を開始し、法人様向けのUdemy for Busines(UFB)のご提供を支援しています。
AI人材を育成する上で大事なのは「継続学習」
常にトップランナーとしてAI人材育成に取り組む
AI人材育成を担当する荻野圭介さんは、情報通信事業グループに所属するエンジニア。2018年から2020年にかけて事業グループで「3カ年計画」で取り組むAI人材育成をメインで遂行しています。
「今は社会全体でAIの実装が足りない段階で、実装したいと考えている企業の方でも、AIで何ができるか、どういったことがしたいかが明確ではないと思います。新しいサービスを創るために、エンジニアだけでなく営業を担当する社員もAIに慣れ親しむ必要があるかなと。実際にアメリカや中国など、世界中でAI人材は育っていて、サービスもたくさんできてきています。日本が遅れているからと言って、私たち技術やサービスを提供する会社が遅れていいといいわけではありません。常にトップランナーとして、備えておかなければいけないと思っています」
意欲的に学び、ビジネスに活かしてくれる新たな才能の発掘と育成を目的とする重要な取組みに、Udemyの教材を導入していただいた理由は、「継続学習の重要さ」と荻野さん。
「AI人材育成は今までのIT人材育成とは種類が違います。IT(情報技術)化では今まで実現してきた自分の技術を誰かが教えることが育成教育となりましたが、AIは技術に加えて自らもトライしていくことが重要=新しい文化をつくる話になってくるので、継続して学習する環境を整えることが重要なのです。継続していくためには、自分が学びたいことを選んで空いた時間に学ぶというUdemyの特性がベストマッチだと思いました」
これまで行われていた研修内容では、継続学習がなかなかなかむずかしかったと荻野さん。優秀な社員は「研修」として拘束することも難しいため、参加の機会も少なかったそう。
「オンライン講座は、相手が指定した時間ではなく、自分が時間さえ作れば勉強できますから。やる気を出してやればできるので、AIビジネスを実践できる自主性の高い学習に前向きな社員が自然とわかるんですよね」
AI人材育成の「3カ年計画」の全体像とは?
AI人材育成がさらに盛り上がるのであれば、「3カ年計画」のカリキュラムの全体像を参考にしてもらっても構わないと荻野さん。特別に社内資料を公開してくださいました。
「私たちの事業グループの社員700名全員にもちろん基礎的な知識を持ってほしいとは思うのですが、自己学習意欲のある人が次のステップに進んでいくことによって、さらに力が伸ばせる。学習意欲を掻き立てられるような、ボトムアップ型の育成を実施しています」
今後も意欲的に学びたい社員をサポート
今後は、「社員それぞれの素養や持っている知識に合わせて、意欲的に学んでいけるためのサポートをしていきたい」と荻野さん。Udemyを使った動画研修も引き続き継続し、高度なデータ分析のできるデータサイエンティストになるための研修も始めていきたいと教えてくださいました。
「この3カ年で終わりではなく、毎年、Udemyを受講してもらい、やってみたいという新しい人材を作っていきたいです。生涯学習じゃないですけど、繰り返して継続していくことが大事だと、実際に3カ年計画を推進する上で感じています。もちろん、この3年で結果を出したいという想いはあります。結果を出すためには資格を取得した人数などが対外的にはわかりやすいとは思いますけど、それはあくまでもプロセスです。現在のような取組みを継続できればと思っています」
文系出身!将来はAIを活用した業務に関わりたい
AI学習では数学の基礎を学ぶことが重要
研修に参加したエンジニアの松尾美咲さんは、入社7年目。普段は、大手通信キャリア向けのサーバーアプリケーションの開発や構築の業務に携わっています。松尾さんが事前にUdemyで学習したのは、今回の講師の我妻先生の「みんなのAI講座 ゼロからPythonで学ぶ人工知能と機械学習」とTensorFlowを使った画像解析に関するコース。
「画像解析は今のところは業務とは関係ありませんが、社内でピックアップされた研修リストの中から興味があったので選択しました。教材はわかりやすかったのですが、私は文系学部出身なので、AI分野で重要な数学や統計の話は基礎がないということもあって難しく感じました。もう少しわかりやすい説明があればな……とは思います」
文系出身の松尾さんですが、自分用の業務効率ツールとしてPythonを使ったことはあったのだとか。最初は書籍で学び、対面研修にも参加したことがあるそうですが、動画研修には「自分の好きな時間にできる」というメリット以外にも、さまざまなメリットがあったと言います。
「聞き逃してもすぐに巻き戻して見られるので、何度も確認できるところが便利だと思います。たくさんの参加者がいる中で、“聞き逃しました”とは言いづらいので。」
動画で聞いた用語だから理解が早い
動画学習で学んでから対面研修に参加することについては、どのような効果を感じたのでしょうか。
「動画学習にて専門用語が事前に音として耳に入ってきていたので、対面研修で同じ用語がでてきた際に“そういえばこの用語は動画で出てきたな”と、理解がより早くなるとは思いました。ただ、先ほどもお話したように数学の基礎がないので、内容は難しかったです。数学に関してのステップをもう一段階踏んでから参加すれば、わかりやすかったかもしれません。今回の2日間の対面研修はボリュームたっぷりで、AIの裏側でどういう計算をしているのかが実際に学べてとても良かったです」
今のところAI技術を業務で使う機会はないですが、将来的にはAIを活用した業務に関わってみたいという松尾さん。文系出身のデータサイエンティストとして活躍する日も近いかもしれません。
AIを身近に感じてもらうため、噛み砕いた説明を
研修を担当したのは、Udemyで数々の人工知能講座を展開し、受講生2万人以上を指導してきた我妻幸長さん。「ヒトとAIの共生」をミッションとして、人工知能関連の教育や研究開発を行うSAI-Lab株式会社の代表で、『はじめてのディープラーニング』(SBクリエイティブ)といった書籍も出版されています。
初心者の気持ちを考えて作った講座
講師を務めた我妻さんは、大学時代は物理学の研究に従事。社会人となり、AI分野に転換したいと思っていたとき、既存のAI教材が難しいものばかりだったことから、AI講座に需要があるのではないかと思い、講師としての活動をスタートしました。今回の対面研修では、どのようなことを考えて講座を組み立てたのでしょうか。
「まず、Udemyの動画講座に関しては、私自身がAIに関する世の中にある既存の専門書などの教材が難しいなと思ったところから始まっていますので、噛み砕いて説明すれば需要があると思ったことがきっかけです。だから、私自身も勉強しながら講座を作っていったところがあるんです」
自ら苦労して学んだ経験があるからこそ初心者の気持ちがよくわかる立場で講座を作っていったことが、我妻さんの講座が多くの人に支持される理由のようです。
「研修に参加していただいたみなさんは意欲のある方ばかりで、最後のワークショップでは、積極的に新しい技術を使ってみようという姿勢が素晴らしかったです。」
我妻さんは、2019年7月現在で8つUdemyで講座を公開しており、受講生は2万名を超えている人気講師の1人です。
講座では人工知能の活用事例や仕組みを解説する概論パートから入り、実践パートで実際にPythonを使って手を動かしながら簡単な人工知能の開発に取り組みます。動画講座でありながら、アウトプットを重視した内容でAIの本質の理解につながる構成となっています。
<概論パート>
<実践パート>
脳科学を学ぶとAIの可能性がさらに広がる
今後、Udemyでは、「脳科学」と人工知能の対応関係を扱うコースを提供していきたいと我妻さん。
「人工知能はもともと人の知能をベースにしているものですから、脳科学を学ぶことによってさらなる可能性があるということを示せると思うんです。ただ、脳科学の研究者ほどの知識はないので、それほど難しい内容にはしないつもりです。人の持っている知能はすごいということに気づいてもらえるような、そんなコースを作りたいですね」
人と会話できるロボットや、お天気を教えてくれる秘書のような存在など、今後、AI技術はさまざまな分野で応用されていくことでしょう。「AIのことを知っていただき、知識の多い方の母数を増やすことが大事かなと思っています」と我妻さん。技術の新たな展開とともに、AI学習の動画コンテンツのニーズがさらに高まりそうです。
対面研修の効果を高めた「事前・事後」としての動画学習
非常に高い講座受講率
CTCでは、「3カ年計画」の初年度である昨年は、「STEP1.0、2.0」として、事業グループ所属の社員700名全員を対象にUdemyの動画を使ったAIの基礎的な自己学習を実施。5.5時間の動画講座の受講完了率はなんと8割。従来の「eラーニング」の印象としては受講率が低いことが課題として企業の人事担当者からも挙げられることが多い中で、この受講率は驚きです。
今回開催された対面研修は、動画学習を受けた社員の中から、「さらに学びたい」という意欲を持って参加を希望した”精鋭”10名が参加。2日間にわたり、AIの基礎知識、および応用につなげるための知識を学びました
対面研修の大まかな流れ
1日目
●人工知能・Python・数学等の基礎知識の復習
●ワークショップ: ニューラルネットワークでイルカとクジラを 分類してみよう
2日目
●ワークショップ: 文豪風の文書を自動生成してみよう
●ワークショップ: RNNで株価を予測してみよう
●ワークショップ: チャットボットをつくってみよう
1日目はAIのプログラムの基礎となる数学の基礎知識を学習。2日目は、「文豪風の文書を自動作成してみよう」「チャットボットをつくってみよう」といったワークショップ形式のカリキュラムです。
2日目に行われた文豪風文書の作成ワークショップでは、参加者が2人1組のチームとなり、宮沢賢治の小説をAIのプログラムに読み込ませて、文字数や会話に選ぶ単語のランダム性などを設定。できあがった文章やチャットボット(AIプログラムを使った自動会話機能)を発表し、 文章が整っていた、会話が成り立っていたと思うチームに投票し、優勝チームを決定するといった内容のワークショップでした。対面研修として実際に手を動かしながら学んだことで、参加者のみなさんは、動画学習で得たAI学習の知識をより身近に感じることができたようです。
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