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全社DX研修を実施し、 不動産×デジタルのイノベーションを目指す

三井不動産株式会社

三井不動産株式会社

三井不動産株式会社は、2018年に策定した長期経営方針「VISION 2025」の3つのビジョンの1つとして、「テクノロジーを活用し、不動産業そのものをイノベーション」を掲げています。そのビジョンの実現に向けて、DXの知識・スキルを全社的に底上げし、各事業領域においてDX案件を推進・リードする人材を育成するために、2022年、全社員を対象としたDX研修「DxU(ディー・バイ・ユー)」を始めました。その研修では、Udemy Businessを活用しています。そこで今回は、人事部人材開発グループ主事の内村竜也さんに「DxU」の概要とUdemy Business導入の経緯について、商業施設本部商業施設運営一部運営企画グループ主事の岡村栄治さんにUdemy Business を活用したキャリア構築について、お話をうかがいました。

デジタルを活用し、新たな不動産サービスの展開が必須

三井不動産は、総合デベロッパーとして、オフィスビルや商業施設、ホテル・リゾート、ロジスティクス(物流施設)、住宅、複数の用途を組み合わせた複合施設など、総合的な街づくりを行っています。

社会が大きく変化する中で、三井不動産グループは、2018年に長期経営方針「VISION2025」を策定。目指す方向性として、「街づくりを通して、持続可能な社会の構築を実現」「テクノロジーを活用し、不動産業そのものをイノベーション」「グローバルカンパニーへの進化」の3つを掲げています。

それらの中でも、テクノロジーを活用したイノベーションが急務だと、人事部人材開発グループ主事の内村竜也さんは話します。

「時代の変化とともに人々の働き方、暮らし方は常に変化し、多様化しています。そのため、不動産を『モノ』としてではなく、ハードとソフトをかけ合わせた『サービス』として提供する、『Real Estate as a Service』の実現へ向けた取り組みを加速させています」

4つのステップのDX研修を、全社員1,700人に実施

2022年4月には、全社員を対象にしたDX研修「DxU(ディー・バイ・ユー)」を開始しました。全社的なDXの知識・スキルの底上げと、同社がDX成功の両輪だと考える「すぐれた企画」+「デジタル実装力」を身に付けた人材の育成が狙いです。「重点研修ポイント」として6つを挙げ、ビギナーからDXマスター人材になるまで4つのステップで研修を進められるように設計されています(図1)。

図1 全社DX研修「DxU(ディー・バイ・ユー)」

ステップ1のビギナーでは、社内で制作した研修動画や自社の「DX白書」を教材として、DXのマインドやリテラシーを身につけます。ステップ2のトレーニーでは、DXの必須知識を、ステップ3のスペシャリストでは、DX基礎・応用知識をe-ラーニングを中心に学びます。ステップ4のマスターでは、外部研修から、各自が自分に合ったメニューを選んで受講。最終的に、担当領域でDX案件に必要なスキル・知識を、実践を通じて習得することを目指します。ステップ4まですべて修了すると、「DXマスター人材」として認定されます。

「DxU」は、DX本部と人事部が共同で企画し、カリキュラムを作成。受講案内は、副社長のDX推進に関するメッセージと共に、全社員に配信されました。全社員対象のDX研修を実施する狙いを、内村さんは次のように話します。
「1つの組織にDX機能を集中させてDXを推進する会社もありますが、弊社では、事業部門とDX本部をはじめとするイノベーション部門が両輪でDXを進めていく方針としています。DX本部にはDXのスペシャリストが多数在籍していますが、彼らにだけ頼ることなく各事業部においてDXの視点を活かしてビジネスを進めていくべきだと考えています。そこで、部署・職種・年次を問わず全社員がDX研修を受け、全事業部においてテクノロジーを活用したイノベーションに取り組めるよう社員のマインドセットを変え、DX推進の基盤を整えようとしています」

DX研修のステップ2・3にUdemy Businessを活用

「DxU」では、ステップ2と3の教材としてUdemy Businessを活用しています。例えば、ステップ2では、Udemy BusinessのDX概論、顧客志向、データ活用、デジタル技術、プロジェクト管理・運用、の5つの講座から、社員がそれぞれ学ぶべき講座を、Udemy Businessのラーニングパス機能を用いて登録します。「DxU」にUdemy Businessを利用した背景を、内村さんは次のように述べます。
「弊社では、『DxU』を始める前の2020年から、自己学習の一環としてUdemy Businessを導入しており、DX業務に従事している社員や自己研鑽意欲の高い社員などが受講してきました。受講者からの評価は高く、DXに関する最新知識が体系的にまとめられていることに加え、忙しい社員に個別最適な学びを提供できると考え、『DxU』にもUdemy Businessを活用することにしました」

2022年度末までに全社員がステップ2を修了することを目標とし、人事部では隔週で社内メールマガジンを配信するなどして、社員に受講を促していきました。その際、指定講座以外の受講も促し、受講への意欲がわくように工夫しました。
「単に『Udemy Businessを活用してください』と言うだけでは、受講率は上がりません。そこで例えば、ロジカルシンキングを鍛えたい人へのおすすめ講座を案内するなど、社員それぞれの悩みに寄り添うような案内を出すようにしています」(内村さん)

担当領域でDXを実践するDXマスター人材を増やしていきたい

DXマスター人材第1号として認定されたのが、商業施設本部商業施設運営一部運営企画グループ主事の岡村栄治さんです。岡村さんは、総合職として2年年前キャリア採用で入社。前職では既存ビジネスのDX化を担い、それに伴うデータ活用やアプリ開発を担当した経験もあり、ららぽーとや三井アウトレットパークに代表される商業施設のデジタルマーケティングを行う現部署に配属され、主にスマホアプリやSNS、ウェブサイトなどのデジタルメディアの開発とマーケティングを担当しています。

岡村さんは、大学は総合系学部出身で、デジタルマーケティングの知識やアプリ開発のスキルは業務の中で身につけてきたと話します。
「前職では、社内公募制度を利用して、営業部からデジタルマーケティングに関わる部署に異動しました。当時はデジタル活用の意欲はあっても、知識やスキルは全くなく、書籍を自分で探して読む、セミナーや研修に参加するなどして、独学で身につけていました。現在は、Udemy Businessで業務に必要な実践的な知識やスキルを動画で学べるため、あの頃Udemy Businessを知っていたら、もっと効率的に学べたと思います」

「デジタルに関わっている自分がDXを推進しなければ会社全体の動きにつながらない」という思いから、「DxU」開始直後から、意欲的に受講してきた岡村さん。身につけていたDXに関する知識を、体系的に整理することができてよかったと振り返ります。
「自己流で学習してきたため、理解が十分でないものもありました。それを体系的に、今の仕事に必要な粒度で学ぶことができてよかったと感じます。例えば、システム開発やデータ分析、広告運用などは協力会社に業務を依頼していますが、それらの仕組みを知らずに発注しているのと、そうでないとでは、仕事の質が大きく変わります。DX知識のない社員でも、ステップ3のDX基礎を修了するころには、取引先とDXに関する専門用語を交えたやりとりができる程度には、成長できると感じます」(岡村さん)

会社が指定する講座以外にも興味のあるUdemy Businessの講座を複数受講してきた岡村さん。特に業務で役立った講座を教えてもらいました。
「ビジネスコンセプトを考える講座です。現在の部署では、企画の枠組みとなる大きなコンセプトを考え、そこから個々のサービスを設計していきます。Udemy Businessの人気講師からコンセプトを考えるためのポイントを改めて学び、自分の考えたコンセプトをさらに深めていくことができるようになりました」

同社の総合職は、基本的に3~5年程度の間隔で部署を異動します。様々な部署を経験する中で、多様な不動産商品を異なる角度から捉えられるようになり、多角的な視点と高い視座を養っていきます。そうしたキャリアの節目にも、Udemy Businessを活用したいと、岡村さんは期待を述べます。
「私は入社後1つめの部署ですが、弊社の総合職は、経理や人事など、全く業務経験のない部署に異動する可能性もあります。部署は同じでも、業務の中で新しいスキルが必要とされる場合もあるでしょう。そうした際に必要な知識やスキルをいつでも学べるUdemy Businessは、私にとってなくてはならない資料庫のような存在です。将来のキャリアに役立つ知識やスキルを身につけ、Udemy Businessを活用して、スキルアップを図っていきます」

今後の課題は、DX知識やスキルを実務に活かしてもらうことだと、内村さんは話します。
「ステップ4は、プロジェクトデザインやデータ分析など、実践的な外部研修を複数用意しています。ただ、まだ実務との結節点が希薄で、研修での学びを業務にどう活かしていくのかが課題です。担当業務の中でDXスキルを駆使した業務改善、イノベーションができるよう、ステップ4の参加者と人事が意見交換を行い、DX推進の1歩目を踏み出せる自社研修を企画中です。常に研修内容を見直し、不動産×デジタルによるイノベーションの実現に寄与できる人材を育成していきたいと考えています」

企業名
三井不動産株式会社
業種
不動産業
従業員数
1,973名(2023年3月31日現在)

総合不動産デベロッパー。オフィスビル、大型商業施設、住宅を中心にホテルやロジスティクス、ベンチャー共創、産官学連携など幅広い事業を展開している。

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