全社員がキャリアパスを描けるよう人事制度を改革、研修も刷新
コムチュア株式会社
コムチュア株式会社は、企業のクラウド導入及び活用を支援するクラウドソリューション事業や、業務自動化などのデジタルソリューション事業を展開し、高成長を遂げている独立系SIerです。同社は、2024年4月に人事制度を改革。人事制度の三本柱である等級・評価・報酬制度を見直し、社員の成長や事業への貢献度を公正に評価する環境を整えたほか、人材育成方針や能力開発計画を刷新、新たな教育体系図をもとに研修を拡充させ、社員が自己成長を実感できる環境の整備を進めています。その一環として、Udemy Businessを導入し、全社員のスキルアップを支援しています。そこで今回は、人事制度改革とUdemy Businessを活用した人材育成について、常務執行役員コーポレート担当役員(人事・総務)の中谷隆太さんと、コーポレート本部人事ユニット人材開発グループ長の鈴木康幸さんにお話をうかがいました。
高成長を継続するため、人事制度を改革
コムチュアは、「デジタルソリューションパートナー」として、デジタル技術を活用し、お客様の経営課題の解決とイノベーション推進を積極的に進めてきました。創業以来、約40年間にわたり、年平均成長率15%の高成長を続けており、2024年4月に策定した中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)では、売上高1000億円企業への挑戦を掲げています。
同計画を達成するため、事業戦略の1つとして人材リソースの拡大が掲げられ、人事では等級・報酬・評価のあり方を見直し、新たな人事制度を導入しました。
人事制度の刷新を指揮した常務執行役員コーポレート担当役員(人事・総務)の中谷隆太さんは、改革に踏み切った理由を次のように話します。
「弊社の人事制度は数十年の間、ほぼ見直されておらず、形骸化している部分も多くありました。特に、報酬や評価の制度は透明性に欠け、部長や課長の裁量で昇格・昇給が決まりかねない状況でした。企業のさらなる成長に向けて、2023年、2024年はそれぞれ約200人の新卒社員を採用しましたが、社員の成長に寄与する人事制度が整備されていなければ、離職率が高まり、社員のエンゲージメントも低下する可能性があります。人的資本経営を実現するため、等級・報酬・評価の制度を刷新しました」
同社は、等級・評価制度を見直し、各等級に達するための基準を明示しました。そして、技術者として専門性を高めるキャリアパスを示した「スペシャリストコース」を、新たに設けました(図1)。
人事制度の刷新と同時に、タレントマネジメントシステムも導入。社員に関する情報を一元管理し、全社で共有することで、社員の成長を支援し、戦略的な人材育成を進めています。中谷さんは次のように話します。
「弊社では四半期に1回、目標設定・評価シートを基に上司が部下と面談をしています。タレントマネジメントシステムに、社員一人ひとりの目標や達成状況を記録し、その成長を全社で共有することで、経営戦略に合った人材を育成していきたいと考えています」(中谷さん)
一人ひとりの社員がキャリアパスを描き、成長するための研修を拡充
新人事制度の導入に伴い、研修制度も見直しました。それは、2023年11月に実施したエンゲージメントサーベイの結果、人材育成に関する課題が明らかになったためだと、中谷さんは話します。
「調査の結果には、『社員が学ぶ機会が少ない』『将来のキャリアパスが描けない』といった課題が顕著に現れていました。そこで、コーポレート本部人事ユニット内に人材開発グループを設置し、研修制度の見直しに着手しました」
人材開発グループ グループ長の鈴木康幸さんは、次のように説明します。
「全社で行う階層別研修は入社1~3年目の社員までで、それ以降の研修は各部門に任されていました。そこで、全社の人材育成方針を策定し、4年目以降の階層別研修を充実させるとともに、課題別研修や部門別研修など、新たに15種類の研修を設計、教育体系図を一新しました(図2)」
しかし、技術の進化が日進月歩の中で、内製にせよ、外部委託にせよ、社員に求められる知識・スキルを習得するための研修をし続けることは、時間やコストの点から容易ではありませんでした。効果的・効率的な研修方法を検討した結果、オンライン学習サービスの導入が不可欠であるとの結論に至り、Udemy Businessを導入しました。
中谷さんは、数あるサービスの中からUdemy Businessを選んだ決め手として、ラーニングパスを幅広く活用できる点や、最新技術動向を反映した鮮度抜群の講座群が揃っている点を挙げます。「Udemy Businessは、自己研鑽だけでなく、各部門が必要な講座を選んでラーニングパスを設定して利用できる点がよいと思いました。例えば、人事が企画する研修の事前学習の教材としてUdemy Businessの講座を視聴させるといった活用ができます。これまでも社内で研修用動画を作成していましたが、内容が更新されず、次第に活用されなくなっていました。しかし、Udemy Businessであれば、研修を企画する側が必要な講座を選ぶだけで済み、その講座も最新の内容に更新されているため、研修内容を容易にアップデートできます」
一方、鈴木さんは、Udemy Businessのメリットは2つあると話します。
「1つ目は、全社員に学ぶ機会を公平に提供できるようになったことです。今回の改革で研修を大幅に増やしましたが、それでもすべてのニーズに応えられていませんでした。全社員がいつでも、自分に必要な分野を学べる環境を整えたいという思いがありましたが、それがUdemy Businessの導入で実現しました。2つ目は、資格関連の講座が豊富に揃っていることです。弊社では、MicrosoftやAWSなどのベンダー資格取得を強く推奨しています。Udemy Businessの導入で、それらの資格取得のための学習機会を低コストで提供することができました」
各部門にHR推進者を任命
同社は、2024年4月にUdemy Businessを導入し、全社員が利用できるようにしました。現在は、自己研鑽のほか、階層別研修の補助教材として活用しています。
「例えば、新入社員は2か月間の全体研修で、ビジネスマナーやビジネス基礎、ITリテラシー、IT技術基礎などを学びます。各部門へ配属後は、部門ごとに扱うソリューションに関連した研修を実施します。その際、部門ごとにラーニングパスを用意して、主に基礎的なスキルをインプットするためにUdemy Businessを活用しています」(中谷さん)
導入から半年が経過した現在の利用率は、90%に達しています。2024年度中に80%を目標にしています。
「弊社がDX領域でさらに拡大し、持続的に成長していくためには、成長領域への積極的なリソースシフトが必要です。各部門に必要な講座を指定してラーニングパスを設定してもらい、事業戦略に合わせた人材育成を進めていきたいと考えています」(中谷さん)
Udemy Businessの活用推進に向けて、人事開発グループは各部門に「HR推進者」を任命し、各種人事施策と合わせて部門内でUdemy Businessの普及活動を行う体制づくりを行いました。
「人事から『Udemy Businessを活用してほしい』と発信しても、現場の社員に届いていない場合があります。同じ部門の仲間から、『業務に活用できる』『資格取得に効果的だ』と勧められれば、Udemy Businessに興味を持つ社員も多いでしょう。ゆくゆくは各部門内に、Udemy Businessを活用して学び合うコミュニティが生まれることを期待しています」(鈴木さん)
「教育サイト」を作成し、人材育成施策を一元化して提供
社員がより学びやすい環境を整備するため、人材開発グループは、各種研修に関する情報を集約した「教育サイト」を作成し、研修の日程やカリキュラムの閲覧、研修の申し込みをできるようにしました。(図3)
Udemy Businessに関する情報も掲載し、人材開発グループが作成した利用ガイドやお勧めの講座のほか、人気講座ランキング、会社全体の総視聴時間、1人あたりの総視聴時間を毎週更新しています。社員の学習データを可視化して伝えることで、学びの風土を醸成しようというねらいがあります。
今後は、「教育サイト」に資格を取得した社員による合格体験記を掲載する予定です。
「例えば、クラウド系資格に合格した社員の体験談は、クラウド事業部内に蓄積されていますが、その体験談を『教育サイト』に掲載すれば、クラウド系資格を目指す多くの社員に役立ちます。資格取得に挑むなどキャリアパスを実現するために前向きに学習を行うラーニングヒーローを表彰し、学び続ける社員を支援していきたいと考えています。将来的には、当社の教育や育成に関する情報をすべてこのサイトに集約し、ここを見れば、社員が自分のキャリアパスをイメージできる状態にすることが目標です」(中谷さん)
また、社員に中長期的なキャリアプランを描き、スキルアップに臨んでほしいという考えから、「キャリア面談」の実施も検討中です。
「社員が幅広い視点からキャリアに関するアドバイスが得られるよう、『HRポータルサイト』からキャリアコンサルタントに相談を申し込めるようにしたところ、社員から好評を得ました。そこで、社員の中長期的なキャリア形成とその実現に向けてキャリアコンサルタントや人事と話し合う『キャリア面談』を実施したいと考えています。社員一人ひとりのキャリアパスの実現を支援し、会社の成長につなげていきます」(中谷さん)