ITスキルの底上げと成長機会を提供するため、Udemy Businessを導入
株式会社コーセー
最先端の技術を結集した高い付加価値を持つ高級化粧品を強みとする株式会社コーセーは、「コスメデコルテ」や「雪肌精」をはじめとする個性豊かな35のブランドを保有し、68の国と地域で製品を展開しています。同社では、社員のITスキルの向上と自律的な学びの機会を提供するために、Udemy Businessを活用しています。そこで今回は、人事部人材・組織開発室の皆さまに導入の背景と活用状況についてお話をうかがいました。
INDEX
全社員のITスキルの向上が急務
1946年に創業したコーセーは、「美の創造企業」として、化粧品の製造・販売を中心に事業を展開しています。創業以来77年間、化粧品ひとすじにブランドマーケティング・研究開発・品質を追求し、独自性のある安全性の高い製品を世に送り出してきました。
「コロナ禍以降、弊社の働き方は大きく変わりました。Web会議が一般化し、社内のコミュニケーションには社内チャット等も活用されるようになりました。しかし、世代や部署によってはデジタルを用いたコミュニケーションに対して苦手意識を持つ社員も少なからず見られました」と、人事部人材・組織開発室室長の草野知之さんは一般社員のIT スキルの向上が求められていた背景を語ります。
そこで、2023年11月にITスキルに関するアセスメントを実施したところ、ITスキルに課題がある社員が多いことが明らかになりました。同社は社員のITスキルの底上げを図ることが必要だと考えました。
社員の自律的な学びの強化を図るため、Udemy Businessを導入
ITスキルの底上げに加えて、社員の自律的な学びを強化することも課題でした。同社は人材育成方針の1つに、「一人ひとりの向上心と主体性を尊重し『自ら磨く』を基本とする」と掲げています。昨今、人的資本経営の重要性が注目される中、草野さんは、スキルアップを社員の主体性だけに任せるのではなく、会社として更に、社員の自律的な学びを支援する仕組みが必要だと考えるようになりました。
「これまでも階層別研修や管理職研修など、多様な研修を行っていましたが、社員それぞれに関心や求められるスキルは異なります。そのため、個別最適な学びを提供することが必要だと考えました。また、意識の高い社員は、研修で得た気づきを次のアクションに結びつけ、自ら成長できますが、研修で知識やスキルを身につけても、それは一時的なもので、実践に活かせていない社員が少なくありませんでした。研修で学んだ内容を復習する、関心のある学びを深めるなど、社員一人ひとりが自律的に学べるようにしたいと考えました」
自律的な学びの機会の提供は、就職活動をする学生にとっても、企業選びにおいて重要なポイントになっていると、草野さんは話します。
「近年、学生の企業選びの基準が変わってきています。仕事内容ややりがいだけでなく、『自分を成長させてくれるか』『会社はどういうキャリアを自分に与えてくれるか』といった点を重視する学生が増えていると感じます」
そこで、社員一人ひとりの成長を支援する学びの場を会社として用意すべきだと判断し、オンライン学習ツールの導入が検討されました。数あるツールの中からUdemy Businessを選んだ理由について、草野さんは次のように述べます。
「ITスキルはもちろん、社員が抱える多様な課題やニーズに対応できる幅広い分野の講座がレベル別にそろっており、個別最適な学びができる点が大きな魅力でした」
草野さんは、Udemy Businessを活用して幅広い分野の学びを深め、イノベーションにつなげてほしいと期待を寄せます。
「化粧品は、単によい成分を入れれば売れるわけではありません。例えば、『ピンクのパッケージがかわいい』といったように感性に響く要素と論理的な戦略が組み合わされて初めてヒット商品が生まれます。そのため、物づくりに関する知識・スキルはもちろん、感性を磨いたり、トレンドを学んだりといった幅広い知識・スキルが求められます。そうした幅広い知識・スキルが新たなイノベーションにつながる可能性があり、そのきっかけを学びからつかみ取ってほしいと思っています」
必修ラーニングパスを設定し、若手社員を中心に受講を促す
同社は、2024年4月からUdemy Business の利用を開始しました。監督職クラスやそれに準ずる社員約850人に加えて、等級などに関係なく利用を希望した約150人にアカウントを付与しました。利用枠を設けた狙いを、人事部人材・組織開発室ユニットリーダーの佐伯喜和さんは次のように述べます。
「利用者は入社5年目以降の社員が中心で、ビジネススキルを一通り学び終えた段階です。更なるスキルアップを主体的に進めてほしいと考え、利用対象としました。加えて、等級などに関わらず学びに意欲的な社員を支援しようと、希望制も導入しました。利用を希望した社員は、新入社員やキャリア入社した社員に多く見られました」
導入から半年間で、Udemy Businessのアカウントを付与された社員の90%以上が登録を完了し、積極的に受講しています。登録が順調に進んだ理由について、佐伯さんは次のように分析します。
「管理職に対して、草野から『自律的な学びの教材として、利用を部下に推奨してほしい』と発信してもらいました。また、導入前の昼休みに利用説明会をオンラインで開催したところ、150人の社員が参加しました。アカウントを付与するだけでなく、Udemy Businessの価値や具体的な利用方法を事前に伝えたことが、早期登録に効果的だったと思います」
また、利用開始と同時に社内のイントラネットに、学習専用のサイトを開設し、「Udemy Businessの使い方」や「おすすめ講座」、「ラーニングパスの案内」を掲載しました。
「イントラネット上での情報発信以外にも、受講を促すプッシュメールをしたり、おすすめ講座などをまとめたメールマガジンを送付したりして、日々の業務に追われて学習を忘れてしまわないよう、継続的な利用を促しました」(佐伯さん)
同社では、Udemy Businessを自己研鑽の学習ツールとして利用を促すほか、ITスキル向上のための「必修ラーニングパス」と、階層別に受講推奨講座をまとめて指定した「選択ラーニングパス」を設定して、受講を促しています。佐伯さんは、次のように説明します。
「必修ラーニングパスには、DXの基本やコンプライアンス、セキュリティに関する講座の計7時間を設定しました。2024年12月までの受講を利用者全員に案内しています。受講は任意となる選択ラーニングパスは、階層に合ったビジネススキルを高められる講座を用意しました。例えば、若手社員向けにはビジネスマナーや話の仕方などの講座を、中堅社員向けにはリーダーシップや役員に対するプレゼンテーションの仕方などの講座を設定しました」
佐伯さんは現在の受講状況を次のように話します。
「Udemy Businessを活用して毎日学んでいる社員もおり、学習意欲のある社員に自律的に学べる環境を提供できたのは非常に意義があると感じています。受講者からは、『自己成長のヒントになる講座が多い』『隙間時間に学ぶことができて便利』といった声が届いています。また、じっくり学習するだけでなく、調べたい用語をUdemy Businessで検索し、該当のセクションを数分間視聴するといった使い方もしている社員もいました。社員一人ひとりに合った多様な学び方ができる点も、素晴らしいと感じています」
今後は、Udemy Businessなど、社員の自発的な学びを実務に活かせるようにするための施策を企画中です。
「講座の視聴だけでは受動的になりがちです。そこで、学んだ内容をアウトプットできる場の提供を検討しています」(佐伯さん)
学びの履歴を人材配置や昇格につなげたい
Udemy Businessの導入によって社員の学習傾向をつかめたことも大きな利点だったと、佐伯さんは話します。
「これまでは、社員の学習傾向を感覚的にしか把握できていませんでした。例えば、『あの人は意欲的に学んでいそうだ』『英語に興味がある社員が多そうだ』といった具合です。管理者画面では、社員が受講している講座などを確認できるため、社員の学びを客観的なデータとして把握できるようになりました」
同社はタレントマネジメントシステムを導入しており、将来的に同システムに研修や社員の学びを連携させたいと、草野さんは考えています。
「研修後にアセスメントを行い、社員の成長を可視化する取り組みを始めています。それらのアセスメント結果や社員の学びを踏まえて、人材配置や昇格、昇級などの戦略的人事に活かしていくことを検討中です」
また、人材公募制度に関わる人事部人材組織開発室の前川怜央さんは、社員のキャリアアップやキャリアチェンジにUdemy Businessを活用してほしいと考えています。
「現状では、各職種において必要なスキルが明確化されていませんが、職種ごとに求められるスキルを整理し、そのスキルの習得に役立つ講座をまとめたラーニングパスを設定したいと考えています。社員一人ひとりが希望するキャリアを築くために必要な学習ができる環境を整え、社員の成長と組織の活性化につなげていきたいと思います」