「スキルチェック」を実施し、高い専門性を備えた人材を育成
株式会社NTTドコモ
株式会社NTTドコモ コンシューマサービスカンパニーでは、高い専門性を持った人材育成を目的として、専門分野別の「スキルチェック」を実施し、社員一人ひとりに必要なスキルの可視化を目指しています。そして各個人のスキル獲得や課題の克服にUdemy Businessを活用しています。今回は、コンシューマサービスカンパニーカンパニー総務人事室育成チームの皆さまに、人材育成の取り組みとUdemy Businessの活用状況を、同カンパニーの社員の皆さまにUdemy Businessを用いた学習についてうかがいました。
INDEX
社員一人ひとりの課題を「スキルチェック」で可視化
NTTドコモでは、社員一人ひとりが高い専門性とスキルを獲得・発揮し、様々な分野で多様なキャリアを自律的に構築しながら、高い付加価値を創出できる人材の育成を目指しています。通信及びスマートライフサービスをお客様に提供する事業を手掛ける同社のコンシューマサービスカンパニーにおいても、社員の専門性強化に向けて、2023年度から専門分野別の「スキルチェック」を開始しました。
その背景をコンシューマサービスカンパニー カンパニー総務人事室・育成チームの小川凌さんは、次のように説明します。
コンシューマサービスカンパニー カンパニー総務人事室育成チームの小川凌さん
「当カンパニーには、マーケティングやセールス、サービス・プロダクト開発など計16専門分野、約5000人の社員が在籍しています。育成チームでは、OJT、OFFJT、自己研鑽の3つの軸で社員の成長を支援しています。ビジネススキルなどの全社員に必須の研修はカンパニー全体で研修を実施していますが、専門分野が幅広いため、自己研鑽による社員の自律的な学びを強化したいと考えていました。そこで、各個人の専門分野のスキルを向上させるために年1回実施しているスキルチェックと連動して自律的な学習を促しています。」
スキルチェックでは、専門分野別のスキルチェックシートが用意され、同シートの20〜30項目を社員が自己評価し、各スキルのスコアを出します。「スキルチェック」は必要に応じて常に社員が実施できる環境にあり、上長と部下がキャリアに関して対話する「キャリア面談」で同シートを基に振り返りをします。
可視化した自分の課題をUdemy Businessで学習
育成チームでは、「スキルチェック」で可視化した課題を克服するための研修を各専門分野のスキル・レベル別(初級、中級、上級)に用意しています。研修には、社内研修に加え、Udemy Businessも活用しています。その意図を小川さんは次のように説明します。
「16専門分野それぞれに必要とされるスキルを伸ばすために、レベル別の研修を用意するとなると膨大な数になります。社内で用意できる研修の数には限界があるため、一部は、Udemy Businessの講座を活用しています。Udemy Businessには、幅広い分野の講座がレベル別に用意されているため、よりきめ細かい研修を社員に提供できるようになりました」
各専門分野のスキル・レベル別にどのような学習をすればよいかUdemy Businessの講座がまとめられており、社内の人事ポータルサイト「人事事典」で社員がいつでも閲覧できるようにしています。(図1)
3か月ごとに振り返り、学びのPDCAサイクルを回す
現在、コンシューマサービスカンパニーでは、Udemy Businessの受講は希望制で、四半期に1回、受講者を募集しています。昇格に必要な資格取得やスキルチェックで確認した不足スキルの習得を目的に、カンパニー全体の約3割に当たる1,200名ほどの社員が受講しています。
社員に目的意識を持ってUdemy Businessを活用してほしいと考え、利用条件を設定したと、カンパニー総務人事室育成チームの田中大輝さんは語ります。
「当カンパニーでは、Udemy Businessは誰もが利用できる福利厚生ではなく、『会社が利用費用を負担して希望者に提供する自己研鑽ツール』と位置づけています。そのため、申し込み時には3か月間で何を学ぶのかの目標を専用フォームに記入し、受講後には目標達成状況を報告してもらうことを受講条件としています。受講の継続を希望する場合は、次の3か月の目標を記入してもらう仕組みです」
このように同カンパニーでは、3か月を1クールとして学びのPDCAサイクルを回すことで、社員の自律的な学びを促進しています。
受講状況を分析し、利用が少ない社員に個別にアプローチ
現在、コンシューマサービスカンパニーにおけるUdemy Businessの継続利用率は9割と高い水準にありますが、さらなる利活用を促したいと田中さんは話します。
「目標としていた資格を取得すると次第にUdemy Businessの利用頻度が減るなどの傾向があるため、何らかの対策が必要だと考えました」
そこで小川さんと田中さんはUdemy Businessの管理者画面で取得できる各種データと人事データを分析し、利用促進策を練ることにしました。例えば、性別や役職、部署、採用区分、在籍年数などの属性別の利用状況の分析のほか、年代×役職や部署×年代などの2軸のクロス分析を行い、どのような社員層が活用しているのかを確認しています。
「受講状況の分析から、技術系の開発部門の中堅社員がよく活用していることがわかりました。一方、ITに関わりが少ない部門の若手社員には活用促進が必要なことが見えてきました」(田中さん)
田中さんは、それらの分析を基に「アクティブ予兆モデル」を構築し、独自の利用促進を行っています。
「専門分野別に一般社員・主査・管理職の3つの階層ごとに人気の講座を分析し、それぞれに適した講座を案内しています。例えば、セールス分野の一般社員層に人気講座を紹介して、『自分もこの講座を学んでみよう』と感じてもらえるようにしています。こうした取り組みの結果、利用が滞っているアカウントが減少しています」
Udemy Businessの利用状況は、同カンパニーの人事ポータルサイト「人事事典」に毎月掲載しています。
「領域別の人気講座や受講時間が多い領域などのランキングのほか、職種や階層別のおすすめ講座、専門分野別の人気講座、資格取得に役立つ講座などを掲載しています(図2,3)。豊富な講座の中から自分に合った講座を選ぶために、ポータルサイトを役立ててほしいと考えています」(田中さん)
Udemy Businessでの学びが、異動先の実務に活きた
次に、Udemy Businessを活用している社員に、活用状況をお聞きしました。
コンシューマサービスカンパニーコンテンツサービス部コンテンツ推進第一担当の久留玲さんが、Udemy Businessを活用し始めたのは、前部署の新規事業部に配属された時でした。新規事業開発を初めて担当した久留さんは、ゼロから学び始める必要がありました。
「新規事業の立案に関するフレームワークに加え、業務を円滑に進めるためにプレゼンテーションやリーダーシップのスキルも必要だと感じ、主にそれら3つの分野の講座を受講しました。私は子育て中のため学習時間が限られていますが、Udemy Businessでは自分の好きな時間に学習できて、非常に重宝しています」
同カンパニー第二プロダクトデザイン部ウォレットサービス担当の山口裕子さんも、異動に伴い新しい知識を習得するためにUdemy Businessを活用しています。山口さんは、セールスSEとしてフロント業務を担当後、現在は「d払い」に関する障害対応を行うインフラエンジニアとして活躍しています。
「現部署に着任した際は、金融分野も職種も初めてで、知識を得たいと思ってもどこから手をつけていいのかもわからない状況でした。そうした時に上司からUdemy Businessを勧めてもらい、受講することにしました。『非エンジニアのためのIT用語100選』など業務に関連しそうな講座を複数受講して、業務の全体像をつかむことから始めました」(山口さん)
2人のように異動に伴う知識の補完に加え、実務に役立つ知識が学べるという点もUdemy Business魅力の1つです。現在マーケティング業務に従事する久留さんも、カスタマージャーニーの作成にUdemy Businessでの学びが役立ったと述べます。
「インターネットで検索するとカスタマージャーニーの概要は理解できたものの、いざ自分が作成に取り組もうとすると、実践に必要な知識が足りないと感じました。Udemy Businessでは、実務経験豊富な講師が多くの実例を出して説明してくれるため、具体的な作成方法がわかり、自分もカスタマージャーニーを作成できました」
山口さんは、情報セキュリティ部からの依頼で定期的にセキュリティ点検の業務を担当する際、情報セキュリティ関連の講座を視聴し、点検内容の立案に役立てました。
「セキュリティ点検の業務は初めてで知識が不足していましたが、上司に一から質問するのもためらわれました。Udemy Businessのおかげで、必要な知識を短時間に習得できて、質問の精度が変わりました」
現在、山口さんは、業務に関わる講座のほか、情報技術者試験の資格取得のための講座を、久留さんは統計の資格取得に関する講座を受講しています。久留さんはUdemy Businessのよさを次のように説明します。
「統計検定では、大学院レベルの高度な知識・技能が求められるため、独学では学習が難しい部分がありました。Udemy Businessで質の高い講座を受講できて満足しています。また、Udemy Businessでは、学んだことを業務で生かせるだけでなく、業務で経験したことを体系的に学び直すことで理解がさらに深まります。今後も積極的に活用していきたいと思います」
今後、育成チームでは、「スキルチェック」を起点としたスキル・キャリアアップ支援をさらに強化する予定です。小川さんは、学びの風土を更に醸成していくには、上長から部下への積極的な働きかけが鍵になると考えています。
「従業員エンゲージメント調査とUdemy Businessの利用状況の相関を分析したところ、Udemy Businessの活用が社員のエンゲージメントの向上にも寄与しているという結果が出ました。そうしたデータを示して上長にもUdemy Businessの利点を理解してもらい、部下に利用を促してもらうなどして、さらなる活用促進をしていきます」(小川さん)