Udemy Businessを活用したDX人材育成で企業の転換期を乗り越え、宇宙ビジネスの未来を切り開く

有人宇宙システム株式会社

（中央：ご担当者様　左右：社会人事業本部 市場開発部 担当者） 
ISS「きぼう」を運用する唯一の民間企業である、有人宇宙システム株式会社。

多様化する宇宙ビジネスに参入するベンチャー企業の増加や、宇宙開発の中心が政府から民間へとシフトする今の時代を背景に、宇宙ステーションの運用管制で培った技術を応用した新規ビジネスの創出などをめざし、2024年度にDX推進課を新設しました。

自発的に行動ができるDX人材を育成するために活用しているのが、Udemy Businessです。取り組みの詳細について、経営企画部DX推進課課長の松永さんに話を伺いました。

めざすDX人材は「自ら考えてDXを推進できる人」

有人宇宙システムがDX推進を行う背景には、大きく二つの理由があります。一つは、ベンチャー企業に代表される新たなプレーヤー宇宙ビジネスへの参入です。AIで衛星画像を分析したりVR/ARで宇宙を再現したりと、テクノロジーの発展に伴い、ベンチャー企業が次々と新たな事業を生み出しています。

「当社では1990年創立以来、「きぼう」の運用管制を担ってきましたが、今後は新しいテクノロジーを用いなければ、競争優位性が保てなくなっていきます。実績だけでは新興企業に対抗できない時代であり、既存ビジネスに新たな技術や考え方を融合することを考える必要があります。」（松永さん）

もう一つの理由は、宇宙ステーションの運用管制で培った技術を用いた新規ビジネスの創出です。

「宇宙は極限の安全性と信頼性が求められる世界です。その技術を自動運転に応用するなど、最近では我々の地上の生活に活かす取り組みにも力を入れています。」（松永さん）

その土台を支える人材育成のため、同社では2024年度にDX推進課を新設。DX方針の策定から施策の実行まで、全社のDX推進を担っています。

「まずは各部署にDX人材を配置することをめざし、従業員の2割にあたる50人をDX人材にしたいと思っています。子どもが『クラスのみんな』と言うとき、『みんな』はクラスの2割を指すと聞きました。同じように、DX人材を2割まで引き上げられれば、会社風土を変え、各部署で業務改善や技術開発が自律的に進む状態を作れるのではと考えています。」（松永さん）

理想とするDX人材は、自ら考えてDXを推進できる人。デジタル技術で業務効率化を行う、情報共有を円滑にするなど、自発的に動ける人材を輩出しようとしています。

「当社のような運用管制業務は、ルールを順守し、決められたことをしっかり行うのが最も重要であり、そこにオリジナリティは不要です。ただし、それ以外の場面で同じ考え方をしていては、会社の未来は発展しづらくなってしまいます。DX推進を通じて、そこに気づいてもらいたいと思います。」（松永さん）

DXだけでなく人材育成全般に活用できることが導入の決め手に

DX人材を育成するにあたって活用しているのがUdemy Businessです。各種研修サービスを検討するなか、気になる箇所を繰り返し見たり、定期的に復習したりできることから、オンデマンド研修を選択。その中でUdemy Businessを選んだ理由には、豊富な講座のラインナップがありました。

「学習プラットフォームを導入するのであれば、DXだけでなく、従業員の人材育成全般に活用できるものがいいと思っていました。人材の流動性が高まる中、従業員が自らキャリアアップのために学べる環境を提供するのが、今後の日本企業のあるべき姿だと思います。その点、Udemy Businessは講座の種類が幅広く、リーズナブルな価格で利用できる点が魅力でしたね。」（松永さん）

4か月で社員の8割以上が5時間超えの学習を実現

有人宇宙システムでは、従業員約200名にUdemy Businessのアカウントを付与。まずはDXに関する必修講座をDX推進課で選定し、約5時間のコースの視聴を必須としました。必修講座の他、業務効率化など仕事と関係がある講座は業務時間内での視聴を認めています。

「コースの割り当て機能を使えば、視聴を促すリマインドメールが自動的に送信されるので助かりました。部門長に視聴率を報告していたので、それも後押しになったと思います。」（松永さん）

結果として、2024年9月に導入してからおよそ4か月後の時点で、必修講座の受講率は8割を超えました。

「アカウント付与した従業員の99%はログイン済みと、非常に高い水準です。当社の従業員に真面目な人が多いことも影響していますが、アカウント登録の招待を複数回送ったり、進捗が後れている人に個別にメールを出したりと、地道なフォローも効果があったと思います。」（松永さん）

中には、「社内通信におすすめ講座を紹介してはどうか」などの提案をしてくれた人も。まだ導入して4か月ほどですが、「Udemy Businessが社内に浸透してきたのを感じる」と松永さんは振り返ります。

Udemy Business導入により、従業員が「会社の変化」を実感

Udemy Business導入と併せて、資格取得報奨制度も開始しました。対象資格は「ITパスポート」、「データサイエンティスト検定リテラシーレベル」（略称：DS 検定® ★）、AI・ディープラーニングの活用リテラシー習得のための「G検定」の3つ。資格を取得した従業員には報奨金が出ます。

「資格取得をめざしてITやAIの学習をする人も増えています。実際にUdemy Businessを活用して試験合格をかなえた人も出てきていて、しっかり効果が表れているのを感じています。通勤時間などを使って学んでくれています。」（松永さん）

また、意外だったのは、ベテラン従業員の活用率の高さです。新しいことを学ぶことに抵抗がより強いと想定された50代以上の従業員が積極的について学んでいます。

「ベテラン世代は英語やビジネススキルよりも、IT・AI・デジタルを学ぶ人が多いですね。50代とはいえ、定年までまだ時間があり、定年後も働く可能性もある世の中ですから、新しいスキルを身につける必要性を感じているのだと思います。学びに世代は関係ないのだと、改めて感じますね。」（松永さん）

Udemy Businessや資格取得報奨制度の導入は、「DXを推進していく」という会社の姿勢を示すもの。その会社の方針と、個人の危機感が一致した面もありそうです。

「当社のメイン業務は国家プロジェクトであり、だからこそコンサバティブに物事を考える会社です。ゆえにDXに関わる新しい技術を取り入れにくい面もありましたが、このままでは駄目だという思いは、従業員にもあったのだと思います。それを口に出したり、実際の行動に移したりするきっかけがなかったところに、会社としてDX推進を始めたことが良い機会になったのだと思います。Udemy Businessの導入も従業員にとっては驚きで、これだけでも会社の変化を感じてもらえたようです。」（松永さん）

DX推進の加速化と、複合的な人材育成の観点で活用を進めていく

多様なコンテンツがあることを知ってもらうためにも、「まずはUdemy Businessにアクセスし、一つ講座を受けてもらうことが重要だと思っていた」と松永さん。そこがある程度クリアできた今、次のステップも見えてきました。

「DX人材育成をさらに加速させるためにも、次の段階では何を学んでどうアウトプットしていくのか、それをどのように評価するのか、考えていきたいと思います。ラインナップの幅広さから学習の仕方に悩む人もいますので、そこのフォローもしていきたいですね。」（松永さん）

さらに、今後はDX推進だけでなく、複合的な人材育成のツールとして、Udemy Businessを従業員育成全般に活用することも考えていると続けます。

「人事課では、従来の人事研修と紐付けるかたちで、新入社員にUdemy Businessの講座を紹介しています。他にも、キャリア形成のコンテンツとして、既存の研修と連動して役立ててもらいたいと考えています。『キャリアアップ研修と併せてこれらの講座を視聴する』など、会社の研修プロセスに埋め込んでいければと思っています。」（松永さん）

まずは3年を目安に、育成によって会社全体を変えていくのが目標です。

「口でどれだけ良いことを言っても、従来の仕事の仕方をみんなで変えなければ、会社全体の意識や風土の変化にはつながりません。3年後には、会社のムーブメントとして自然にDXや自発的な学習ができる状態にしていきたいと思います。」（松永さん）