事業開発やデジタルマーケティングのスキル強化、興味・関心を高めるためBOCを導入
東京ガス株式会社
東京ガス株式会社は「Compass2030」をグループ経営ビジョンに掲げ、「CO2ネット・ゼロ」に向けた取り組みを実施。2023年からの3年間をビジネスモデルの変革期と位置づけています。都市ガス・電力・ソリューションの提案・販売を行うカスタマー&ビジネスソリューションカンパニーは、「Compass2030 Transformation 23-25」の3つの主要戦略の内、「ソリューション事業の本格展開」を中心に取組んでいます。事業戦略に合わせた同カンパニーの人材育成、そして「Business Online Campus(以下、BOC)」導入の経緯や実際の活用について、社員の皆さまにお話をうかがいました。
INDEX
ソリューション事業を強化すべく、カンパニー独自の人材育成をスタート
東京ガスグループは、2022年4月、柔軟でスピーディな意思決定・経営判断を行うために、カンパニーおよび事業会社を設け、自立自走型のホールディングス型グループ体制へ移行しました。そして、2023年2月に発表した中期経営計画において、2023年から3年間を「従来のエネルギーの枠を超えたソリューションと事業群で、社会の持続的発展とお客さまへの一層の価値提供を追求すべく、東京ガスグループ自らがビジネスモデルを変革」する期間と位置づけ、新たな取り組みをスタートさせました。グリーントランスフォーメーション(GX)・デジタルトランスフォーメーション(DX)・お客さまとのコミュニケーション変革(CX)を軸に、「エネルギーの安定供給と脱炭素化の両立」「ソリューションの本格展開」「変化に強いしなやかな企業体質の実現」の3つの主要戦略を推進しています。
カスタマー&ビジネスソリューションカンパニーは、主要戦略の「ソリューションの本格展開」の中で「ソリューション事業の拡大」や「デジタルを活用したお客さまコミュニケーションの深化」を強化・拡大していく取り組みとして掲げており、これらの戦略に必要な担い手の育成が求められるようになったと、企画部ソリューション人事・総務グループマネージャーの猪野剛弘さんは語ります。
「私たちのカンパニーでは、これまでご家庭や企業に都市ガスや電気を販売する事業を中心に行っていましたが、これらに加え、社会の変化に応じた新たなサービスや商材といったソリューションの開発を強化・拡大することが求められるようになりました。また、これまでリアルな接点が中心だったお客さまとの関係から、よりお客さま一人ひとりのニーズにお応えするべく、デジタル基盤を活用した双方向コミュニケーションを実現することが求められるようになりました。」
事業開発とデジタルマーケティングのスキルを強化するため、BOCを導入
同カンパニーは、ソリューション事業の強化にあたり、事業開発やデジタルマーケティングのスキル向上、担い手の拡充が必要だと考え、独自に研修を行うことにしました。複数の研修を検討した結果、採用したのがBOCでした。BOCは、Udemyの人気講師がリアルタイムで直接指導するオンライン講座で、導入企業が育成を目指す人材像に応じて内容をカスタマイズでき、双方向でのやりとりを通して実践的な学びを深められる特徴があります。今回はBOCラインナップの中でも「事業開発講座」を採用し、その講座を受講する前にデジタルマーケティングのウェビナーも別の講師にて行うオリジナルの構成で研修を実施しました。
同社では2021年6月から一部の部署でUdemy Businessを導入しており、BOCとUdemy Businessを連動して社員個人による自律的な学びを促進できる点が決め手になったと、猪野さんは話します。
「受講者は、事前課題に指定されたUdemy Businessの動画を視聴し、基礎知識をインプットしてからBOCの講座を受けます。講座では、講義とワーク、講師によるフィードバックを繰り返すため、実践的なスキルを習得しやすいと考えました。BOC受講後に、講座内容に関するUdemy Businessの動画を紹介すれば、自律的な学びにつながることも期待できました」
研修を企画したのは、同カンパニー企画部ソリューション人事・総務グループ人事チームの佐竹まりなさんです。カンパニーの戦略を考慮し、受講対象者約160人を3つのタイプに分けたと、佐竹さんは説明します。
「タイプ1は、主に営業や機器保安など、事業開発やデジタルマーケティングに関連の少ない部署の社員です。事業開発やデジタルマーケティングの業務経験がないけれど、それらに関心がある社員が受講できるようにしました。タイプ2は、2023年4月以降、初めて事業開発やデジタルマーケティングを担う職場に配属された社員です。それまでと異なる業務を担当するため、受講によって、事業開発やデジタルマーケティングの知識を体系的に習得してほしいと思いました。タイプ3は、既に事業開発やデジタルマーケティングに携わっている社員です。最新の知識を改めて学ぶことをねらいとしました」
現在、事業開発やデジタルマーケティングに関わっていないタイプ1の社員も受講対象としたのは次のような意図があったと、人事チームリーダーの伊藤慎平さんは話します。
「事業戦略と人材戦略は連動して考える必要がありますが、私たちのカンパニーには営業や機器保安など、様々な職種の社員がいます。事業開発やデジタルマーケティングに関わっていない社員も含め、より多くの社員が研修に参加し、カンパニーの事業戦略を理解すること、そして、変革に必要な知識やスキルを主体的に学ぶことが、変革の推進に重要なのです」
事業開発の経験がある社員にとっても新たな学びに
デジタルマーケティングのウェビナーと事業開発講座は全4日間6時間の内容で、前期と後期に分けて実施しました。
「習熟度に合わせた内容にしたいと考え、タイプ1の社員には、できるだけ後期に受講してもらい、講師には初心者向けのアドバイスを厚くしてほしいと依頼しました。すると、事業開発に関わっていない受講生に向けて、現在の業務にも活かせるようなアドバイスをしていただきました。受講者からは『現在の業務にも今回学んだことを活かしたい』といったコメントが寄せられました」(佐竹さん)
BOC受講者の1人、リビング戦略部リビング戦略グループの佐藤優一さんは、2023年4月、事業開発に関わる部署に異動し、個人のお客さまにガスと電気以外の暮らしに関するサービスを開発する業務に携わっています。
佐藤さんは、受講して特によかった点が2つあると話します。
「1つめは、事業開発を体系的に学べたことです。配属後、OJTで業務の流れを学びつつ、書籍を読んで知識をインプットしていましたが、自分1人で事業計画書を作成するのは難しく、事業開発のハードルの高さを感じました。しかし、今回の受講で、事業開発の要点を学び、企画の発想から提案資料の作成までを経験できました。1つの型を身につけることができ、『自分にもできる』という手応えを得ました。
2つめは、見込み客を顧客へと転換させる一連のプロセスである『セールスパイプライン』を具体的に学べたことです。私が開発に力を入れたいと考えている若年層向けのソリューションにおいて、お客さまとどのような接点を持つべきかといったカスタマージャーニーを考える際に、今回の学びは役立っています」
佐藤さんは、BOC受講後、更に学びたい分野が見つかったと述べます。
「事業計画書を作成する際に必要な財務分析や論理的な資料作成についての知識が不足していると感じ、Udemy Businessの関連講座を通勤中に視聴しています」
リビング技術部技術企画グループの木内優里さんは、設備系の新規事業の企画を担当しています。過去にECサイトの立ち上げなどの事業開発を経験しましたが、BOC受講により自分の仕事の進め方を見直すことができたと話します。
「講師から、『事業計画書の作成では、全体のストーリーを作った後に細かい点を修正することが大事』とアドバイスをいただきました。それまで私は、最初から細部を作り込んでしまい、資料も必要以上に凝ったつくりになっていました。もっとシンプルな方が、相手に伝わりやすく、自身の負担軽減にもつながると学びました。実際、受講後に作成した事業計画書は、上司から高く評価されました。今回の学びを、自分のプロジェクトのメンバーにも共有していきたいと考え、Udemy Businessでコーチングを学んでいます」
過半数の方が学習効果を実感、BOC受講をきっかけにキャリア志向に影響が
BOC受講者に実施したアンケートでは事業開発とデジタルマーケティング研修共に過半数の方が『前向きな気持ちと学習意欲を持てた』と回答。また、研修を重ねる度に『職場実践できそう』という回答者数が増加しました。
実際に、どのタイプの受講者も満足度が高かったと、伊藤奈菜子さんは話します。
「中でもタイプ1の受講者の評価が高かったです。講座後に行ったキャリア希望調査では、『将来的には事業開発やデジタルマーケティングに関わる仕事をしたい』と回答した受講者が思いのほか多く、研修の意義を実感しました。」
それらの成果を受けて、次年度以降も対象者の拡大や研修プログラムの拡充を計画中です。
「複数のプロジェクトを円滑に並行して進める方法など実践的な分野を学びたいという社員の声もあり、そうした講座も計画中です」(佐竹さん)
猪野さんは今後の展望を次のように話します。
「今回のBOC受講を通して、事業開発やデジタルマーケティングに携わっていない社員が新しい業務に関心を持つようになりました。今後もどの職種の社員であっても、BOCをきっかけとして事業開発やデジタルマーケティングの分野に可能性を感じ、Udemy Businessを継続的に活用して自己研鑽をするようになることを願っています。そうした文化を作ることがカンパニー全体の成長につながると考えています」