自律的に学び、事業価値向上に貢献できる人材の育成を目指す
三菱商事株式会社
三菱商事株式会社は、2022年5月に公表した中期経営戦略2024において、重要な柱の1つとして「人的資本の価値最大化」を掲げ、戦略的な人材育成に向けて、様々な人事施策を展開しています。そこで今回は、同社の人事部人材開発チームの皆さんと、同社のグループ会社で教育研修・人材開発に携わるヒューマンリンク株式会社の人材・組織開発本部MC人材開発事業部の皆さんに、人材育成の方針やUdemy Businessを教材として活用した研修、Udemy Businessの活用状況についてお話をうかがいました。
INDEX
事業価値向上にコミットできる人材の育成が急務
近年、脱炭素社会への移行、持続可能な社会と暮らしの実現、地域コミュニティとの共生など、解決すべき社会課題は従来に増して多様化・複雑化しています。三菱商事(株)は、2022年度からの3か年の経営指針として、「中期経営戦略2024」を策定。「三菱商事グループの総合力強化による社会課題の解決を通じて、スケールのある共創価値の創出」を目指しています。
トレーディングから事業投資そして事業経営へとビジネスモデルがシフトしてきた同社ですが、社会の変化を受けて商社に求められる役割は、大きく変化してきたと、三菱商事人事部人材開発チームリーダーの藤田洋平さんは述べます。
「弊社は現在、世界中にある約1,800の連結対象会社とともに様々な事業を展開する『事業経営』に力を入れています。そうした事業特性を踏まえ、弊社では価値創出の源泉を『人的資本』として捉えており、その価値の最大化を目指しています」
事業経営へのシフトを図る同社が目指すのは、「経営マインドをもって事業価値向上にコミットできる人材」の育成です。具体的には4つの能力を兼ね備えた人材だと、藤田さんは説明します。
「1つ目は、社会課題の解決に向けた『高い志』、2つ目は、時代を先取りして新たな価値を導出する『構想力』、3つ目は、国や業界を超えて関係者を巻き込みながらスピーディに構想を実現する『実行力』。そして4つ目は、弊社の企業理念である『三綱領』の精神につながる『高い倫理観』です」(藤田さん)
これら4つの力を兼ね備えた人材がやりがいと誇りを持って仕事に取組み、能力を最大限に発揮しながら、継続的に成長・活躍できるよう、多様な個の就業観・価値観を尊重し、同社ではキャリア自律を重視した取り組みを拡充しています。具体的には、上司と対話して自身の能力・キャリア開発を振り返る「成長対話」(年1回)や、自らが挑戦したい組織への異動を後押しする「Career Choice制度」、社内複業を通じたスキル習得・成長機会を提供する「Dual Career制度」、国内外の大学・大学院への進学を通じた学び直しに自律的に取り組むことができる「サバティカル休職制度」などを実施しています。
また、重要職務を担う人材の可視化を行う仕組みも導入しています。具体的には、ヒューマンリンク(株)にアセスメント機能を具備し、アセッサーが対象者一人ひとりにインタビューを行い、適性検査の結果等のデータも踏まえ、フィードバックと対話を行う形式です。面談を担当するアセッサーは、事業会社の社長や拠点長を経験した弊社のOBで、アセスメントの専門機関での研修を行い、資格を取得した上で、面談に臨んでいます。面談結果を配置の参考情報として役立てるとともに、リーダーシップスタイルの発揮状況等について本人にフィードバックし、気づきや内省を促しています。
自律的な学びと階層別研修にUdemy Businessを活用
キャリア自律の加速に向けて、多種多様な人材育成プログラムも用意しています(図)。その1つが、Udemy Businessを活用した自律的な学びです。藤田さんは導入の経緯を次のように語ります。
「今日学んだ知識が、明日には陳腐化してしまう時代が到来しており、社員一人ひとりが貪欲に学び、絶えず成長し続けることが重要だと考えております。そこで、会社として社員のキャリア自律・成長を支援するため、2021年度からUdemy Businessのアカウントを全社員に付与し、社員一人ひとりが自分に必要な知識やスキルを自由に学べる環境を用意しました」
同社の全社研修は、集合研修とUdemy Business等のオンライン講座を組み合わせたハイブリッド型で実施しています。集合研修の事前課題としてUdemy Businessの指定講座の視聴を課し、集合研修では指定講座をベースとしたワークショップを行う仕組みです。ヒューマンリンク(株)の人材・組織開発本部MC人材開発事業部の鈴木那奈さんは、受講者側のメリットを次のように話します。
「事前に必要な知識をインプットしているため、集合研修当日は受講者同士のディスカッションなど、インタラクティブな活動が活性化され、新たな学びや気づきが多くあると、受講者の高い満足度を得ています。また、Udemy Businessは、好きな時間に好きな場所で学習を進められる為、海外駐在中の社員でも必要な知識をインプットできると好評です。」
また、研修を企画・運営する側のメリットを、同事業部チームリーダーの秋山純子さんは次のように説明します。
「技術の進歩は早く、最新の内容を盛り込んだ研修を幅広く人事部で用意することが難しい場合もあります。それが、講座が日々アップデートされているUdemy Businessを利用することで、社員の多様なニーズにタイムリーに応えることができます。法人向けのUdemy Businessには、一般向けのUdemyの講座の中から高い評価を受けた厳選された講座のみが提供されているので、学びの質という面でも安心です」
DX研修にもUdemy Businessを活用し、最新の学びを提供
社内のDXを加速するために講座視聴を通して、社員のDXリテラシーの向上を目指す「MC DX Advancement Program」でも、Udemy Businessの講座を視聴していただいております。全社員が身につけるべきIT・デジタルリテラシーをまとめた必須講座(全役職員必須受講)と、データデザインやDXプロジェクト管理などの任意講座を指定しました。
「講座は、人事部、ヒューマンリンク(株)、IT部門、およびUdemy Businessの提供元であるベネッセコーポレーションの担当者で協議しながら選定しました。テーマやレベル別に体系立てて講座を提示したところ、『学びやすくなった』という声があがっています」(秋山さん)
2024年度には、より高度なDX・AIスキルを有する人材の育成も開始しました。藤田さんは、その概要を次のように紹介します。
「AIを前提の世の中に急速に移り変わりゆく中で、弊社においてもAIを正しく理解して事業経営の変革、既存事業の在り方の再定義や新たな事業創出を行うことができる人材を早期に育成する必要があると考えております。AI活用を含めたデジタル関連スキル全般の強化・底上げを図るべく、Udemy Business等も活用した新たな研修を企画中です。」
社員が自律的に学ぶカルチャーの醸成を目指す
同社では、2022年度から海外拠点やグループ企業でもUdemy Businessを活用した学びを進めています。ヒューマンリンク(株)の人材・組織開発本部MC人材開発事業部の水口竜太朗さんは、次のように述べます。
「海外拠点やグループ企業を含めた三菱商事グループの社員にスキルアップの機会を提供するため、希望があった場合にはUdemy Businessのアカウントを付与しています。Udemy Businessにはカスタムコース機能もあり、弊社の企業理念を含む価値観や歴史などの浸透を目的に、人事部が作成した講座を配信し、海外拠点やグループ企業の社員が受講できるようにもしました」
特にアジアを中心にUdemy Businessの積極的な活用が進んでいます。Udemy Business受講者にアンケートを取ったところ、課題や目的に応じた講座を自由に受講できる点を評価する声が挙がりました。
一方、更なるUdemy Businessの活用について、今後の課題を水口さんと秋山さんはこう語ります。
「現状を分析したところ、講座数が多いため、自分に必要な講座を絞り込めずにいる状況が見えてきました。今後は、どのような層が、どのような講座を受講しているのかを更に詳細に分析し、テーマ別におすすめの講座を提案するなどして、自律的な学びとしての受講を促し、Udemy Business全体の受講率を一層高めていくとともに、グループ全体で学びの文化の醸成を図っていきたいと考えています」
また、学びの文化を全社に根付かせようと、自己学習について情報交換をする場として社内チャットを開設しました。それらに加えて、Udemy Business利用促進施策としてUdemy活用事例や講座内容等を紹介するセミナー「ゆうでみぃチャンネル」を定期的に開催しています。
「この『ゆうでみぃチャンネル』ではUdemy Businessの講師と弊社社員の対談など、学びに関わるセミナーを配信しています。Udemy Businessの活用を通じて、自ら学びを進める風土をより定着させていきたいと考えています」(関口さん)