老舗企業のDX推進～Udemy Business導入をきっかけに、社員のITへの意識変革と全社的なITリテラシー向上を実現～

千歳コーポレーション株式会社

千歳コーポレーション株式会社は、2020～2021年度の働き方改革の一環としてDX推進を図り、クラウドシステム導入やテレワーク環境整備を進めました。その取り組みとして、社員のITリテラシー向上を目的としたUdemy Businessの導入も実施しています。今回は、同社のDX推進戦略とUdemy Business導入の背景、活用状況について、人事総務部の皆さまにお話をうかがいました。

働き方改革で古い企業文化を脱却、Udemy Businessの導入で社員の意識改革にも着手

千歳コーポレーション株式会社は、三菱UFJ銀行からの転籍者が多く、社員の平均年齢は56歳前後となっています。本社のオフィスリニューアルを機に、全員が毎日出社して紙の書類でやりとりする業務フローから脱却すべく、2020年よりDX推進を図り働き方改革を実施しました。人事総務部キャリア戦略室長の涔澤（たきざわ）直子さんは、これまでの取り組みを次のように振り返ります。

「いわゆる“昭和の企業文化”を脱却するために、フリーアドレス制の導入やシステムのクラウド化を全社的に実施しました。モバイルPC・スマートフォンを活用した業務システムの導入といったデジタル化の推進で、テレワークの定着も進んでいます」

ここ数年で社内インフラは整備され、柔軟なワークスタイルは実現できました。次に取り組む課題として、社員のデジタルに対する意識改革を促し、DXやIT活用を自分事化してもらうことだと涔澤さんは話します。

「会社の急速な変化に、社内から戸惑いの声もありました。書類の決裁や承認オペレーションなど、すべてデジタル処理できるワークスタイルを実現したところで、社員が使いこなせないと意味がありません。企業側のアップデートに問題なく対応し、ツールを使いこなすのは社員の必須スキルだとの意識を持ってもらうため、Udemy Businessを導入するに至りました。DXやIT系のスキル講座が充実していて、多様なレベルの人にフィットした講座が選べる選択肢の多さが、導入の決め手となりました」（涔澤さん）

社内報の配信や受講指定講座の設定で学習意欲を促し、資格取得者が大幅に増加

社員向けにeラーニングを提供するのは、同社として初の取り組みです。当初は、正社員と嘱託社員全員に対してUdemy Businessのアカウントを付与し、自己啓発の一環として自分の興味ある分野をピックアップして学びを実践する、といったスタイルでスタートしました。運用を進める中で、学びに興味を持ち自主的に進める人と、最初の一歩が踏み出せず停滞する人の二極化が表れてきました。そこで実施したのが『千歳Udemy通信』の配信と、受講指定講座の設定でした。

「1～2ヶ月に1回、キャリア戦略室が中心となって、Udemy Businessでの学びを促進する目的で『千歳Udemy通信』という社内報を配信しています。

おすすめ講座や人気講座ランキング、Udemy Businessの活用でスキルアップした社員のインタビューなど、内容は多岐にわたります。また、受講指定講座を設定し『千歳Udemy通信』の中で受講状況をお知らせすることで、学習意欲の促進にもつなげています」（涔澤さん）

受講指定講座は、Udemyを各人の人事考課の目標として組み入れることで、全社的なITスキルの底上げを図る目的で行われました。6ヶ月で10～15時間程度の学習時間となるように、講座内容をキャリア戦略室で設定しています。受講指定講座は業務時間内に受講することも可能です。

「実務で使うExcelやPowerPointの講座も設定しているので、パソコンのスキルアップができて作業時間が削減されたという声が一番多く届いています。ITパスポートやマイクロソフト オフィス スペシャリスト（MOS）といった会社が取得を推奨しているIT系資格も、Udemy Business導入前は25名だった有資格者が、導入1年半で延べ117名と大幅に増加しました。Udemy Businessの導入によって、ITに対する意識変革と、社員のスキルアップに大きな成果が出ていると実感しています」（涔澤さん）

ITレベルをセルフチェックし、Udemy Businessで個別最適なスキル習得を目指す

同社は、社員の3分の2がセカンドキャリアで入社してくるといった特殊な状況であることを踏まえ、受講指定講座の設定にあたって自身のITスキルに関するセルフチェックを実施しました。

「ITやDXに関しては、興味の有無によってリテラシーやスキルに大きく差が出るところです。また、前職でマネジメント業務をしていた人は、実務は部下に任せるケースも多かったと思われます。そこで、自分ができると思っている実務レベルのITスキルを本当に持っているか、現在のレベルを再確認してもらうために社員全員にセルフチェックを実施しました」（涔澤さん）

具体的には「DX・クラウド」「AI」「情報セキュリティ」などの8分野についてセルフチェックを行い、各分野のスキルレベルを0～3の4段階で評価します。役員を含めた全員の結果を分布表にして社員へオープンにし、自分の社内での立ち位置を知ることで自身の強みや弱みを明確化し、必要なスキルを補う講座の受講で効果的なスキルアップを図っています。

「全社の平均値は1.1くらいでした。その分布図を社員全員に公表して、社内平均に対して自分の立ち位置がわかるようにしています。レベルが0の人は1をめざし、1の人は2をめざす。そういった目指す姿を、社内で示しながら実施してきました。セルフチェックは、基本的に年1回を想定しています。前回のセルフチェックからどのように数値が変わっているか、非常に興味深いところではあります」（人事総務部長　宮﨑　裕さん）

Udemy Businessを活用し、企業のパーパスに沿って社員の働く未来を支援

これまでは、会社全体におけるITリテラシーの底上げに軸足を置いて取り組まれてきました。今後の課題として、全体のスキル向上や各部署の牽引役に特化した育成を検討していると話します。

「Udemy Businessでの学習は、社内にかなり浸透してきたと感じています。そもそも、DXやデータ活用を身につけて業務に活かしてほしいという目的で導入しました。Udemy Businessの導入によって個人としても組織としてもITに対する意識の変化は見え始めており、部署によっては業務におけるフローを各人で変えるといった動きも出てきています。また、最近では各部署に『DXリーダー』と呼ばれる、各部署の業務に関するDXの旗振り役の設置を決めました。Udemy Businessで学んだ知識をアウトプットして、業務との相乗効果を狙うという意味でも、『DXリーダー』の設置は意味のあるものだと考えています」（涔澤さん）

「業務の多忙さの中でも、 Udemyの受講指定講座で学びの必要性を意識してもらう。各部リーダーからフィードバックを受け、自分はどういうスキルアップをしたのか確認する場が設けられる。来年のセルフチェックで自分がどれだけ伸びているのか再検証する機会もある。こうした循環モデル的なものを全社的に浸透できたというところが、Udemy Business導入の大きな意義だと感じていますし、今後はそれをさらに発展させていきたいと考えています」（宮﨑さん）

同社は、Udemy Businessを社員の意識改革とスキルアップのための基盤として位置づけ、今後も積極的に活用していく予定です。

「当社では『空間に価値を、“働く”に未来を。』というパーパスを掲げています。先ほど申し上げたとおり、多くの社員が50代でセカンドキャリアとして入社していますが、前職での経験に関わらず当社では新入社員からのスタートです。職場が変わることで、新しい業務やスキルを習得して個人としても成長してもらいたいと考えています。また、定年後のサードキャリアを考えて、社員への支援としてスキルのアップデートやリスキリングを支援していく所存です。これらの学びにUdemy Businessを活用することで、会社の成長と併せて我々社員もパーパスに沿った形で働く未来につなげられるようにしていきたいと考えています」（涔澤さん）